屈折する星屑エセー

本職は医療従事者ですが雑記帳として綴ります。

タバコ警告表示は面積を増やすより写真を入れろ!

 

たばこ警告表示、包装面の50%以上に拡大へ

たばこの健康被害を強く呼び掛けるため、財務省は警告文の表示面積を現在の「主要な包装面の30%以上」から「50%以上」に拡大する。(中略)国際的な規制強化を意識し、一般的な商品は東京五輪開幕前の2020年4月1日の切り替えを求める。(中略)国内のたばこには現在、病気のリスクなど8種類の警告文をローテーションで主要面に表示するよう義務付けている。(中略)他人への影響を示す5種類の文言を設定。裏面用は肺がんや心筋梗塞など本人のリスクに関する5種類を定め、入れ替わりで表示する。『たばこ警告表示、包装面の50%以上に拡大へ』SankeiBiz.2019.1.8たばこ警告表示、包装面の50%以上に拡大へ - SankeiBiz(サンケイビズ)

 記事によると東京五輪前の平成32年4月に、葉巻など他のたばこは7月に切り替えとある。国際規制の50%に準拠することで訪日外国人にアピールする意味合いが強いそうだ。

日本はいつから警告表示が始まった?

たばこ規制枠組条約が発効した2005年より、たばこの広告や包装には、たばこ事業法第39条と、これに基づく財務省令(同法施行規則第36条の別表第一・第二)で規定されている。(中略)同規則改正前は、1972年から1989年まで「健康のため吸いすぎに注意しましょう」、1990年から2005年まで「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」とパッケージの側面に書かれているのみであった。「たばこ警告表示」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』.たばこ警告表示 - Wikipedia 

たばこを吸わない私からしたら、2005年当時なんとなく見た目が変わったなという印象でしかなかったが、愛煙家からすると伝統のあるブランドを表すパッケージにでかでかと健康を害するという説明文が記載され、かっこ悪くなったと寂しさを覚えたに違いない。

現在の警告表示

そこで今どのような警告文が載っているか一部改めて確認してみよう!

肺がん

喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。疫学的な推計によると、喫煙者は肺がんにより死亡する危険性が非喫煙者に比べて約2倍から4倍高くなります。

心筋梗塞

喫煙は、あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます。疫学的な推計によると、喫煙者は心筋梗塞により死亡する危険性が非喫煙者に比べて約1.7倍高くなります。

受動喫煙

たばこの煙は、あなたの周りの人、特に乳幼児子供お年寄りなどの健康に悪影響を及ぼします。喫煙の際には、周りの人の迷惑にならないように注意しましょう。

妊婦の喫煙
妊娠中の喫煙は、胎児の発育障害や早産の原因の一つとなります。疫学的な推計によると、たばこを吸う妊婦は、吸わない妊婦に比べ、低出生体重の危険性が約2倍、早産の危険性が約3倍高くなります。

 このように疾患や周囲の人の影響について数パターン存在している。よく見ると厚生省のURLまで記載されているではないか。丁寧!

厚生省のホームページ

詳細については、厚生労働省のホームページたばこと健康に関する情報ページ |厚生労働省をご参照ください。)

私は喫煙者ではなく日常的にタバコの箱を手に取る習慣は無いため、どれも同じ文句が貼られていると思っていたがそうではなかった。いくつかのシチュエーションに分かれ、具体的な数字をもってたばこの危険性を訴えているのである。愛煙家にとっては知ってるよそれくらい、というレベルだろうか。

画像で見る肺疾患
では逆に問いたいが、たばこの危険性をどれだけ把握できているのか、と。
職業柄喫煙者も多く接するが、呼吸器や循環器の疾患を抱えている場合が多い。若年齢なら目立たないが、高齢になると同世代の非喫煙者よりも顕著に肉体に現れてくる。数十年に及ぶ喫煙が着実に少しずつ蝕んでいるのだ。実際のデータは上記パッケージのごとくである。
CT画像などでもCOPD患者は肺がスカスカである。健常な肺と比べて欲しいのだが肺の組織どこいった?と思える。実際に見てみよう。百聞は一見にしかず!

f:id:xray-stardust:20190108190017j:plain

「COPD 慢性閉塞性肺疾患」『慶應義塾大学病院KOMPAS - Keio University 医療情報健康サイト』慢性閉塞性肺疾患(COPD)|KOMPAS

左上の画像と右下を比べてほしい。見ただけで「この人は息できているのだろうか」と心配してしまうほど進行している。こういう疾患の人はキャリー式の酸素ボンベを携帯しなければ歩くことすらままならないだろう。万が一、肺がんになってしまったらツラい検査や痛い治療、続く咳やからむ痰と長い付き合いになる。根治的な治療法は存在していないのだ。

権威のある呼吸器のDrが隣で

「やっぱりタバコか。タバコはいかんよ」

とつぶやいていたのが今も耳に残っている。


などと言う医療従事者のたわ言などは愛煙家にとってはどこ吹く風だろう。そのようなタバコを愛している人々にとって警告の面積が1/3から1/2になったところでなんの変化も感じないのは目に見えている。現状の警告文すら視界に入っていない可能性すらある。実際に自分が大病を患うまでこの警告はわからないものだ。そのときには既に遅いのだけれど・・・。

本当の世界標準を考える

その1 多言語表記

個人的には、今回の仕様変更は注意喚起としてはほとんど意味をなさないと思う。記事にあるように外国人向けのアピールでしかない。日本の喫煙環境は世界基準に合わせていると見せたいだけだ。本当に外国人に焦点を当てるなら外国語の記載も必要である。せっかく紙面の半分も使って警告しているのに、それが日本語だったら何のための警告かわからないではないか。わざわざタバコの箱の日本語を翻訳するような時間を持て余す観光客がいるはずもなく、最低でも英語併記は必要だ。

その2 画像を入れる

もしくは諸外国同様、タバコパッケージに腫瘍や術後のグロテスクな(というと失礼だが目を覆いたくなるような)写真を貼りつけるのはどうだろうか。視界を流れていく文字よりもインパクトはあるし、恐怖心も芽生えさせることができる。最大の利点は言葉の壁が無いことだ。ノンバーバルな警告は外国人、英語圏以外の人が見ても効果的だ。加えて、日本人は特に敏感に反応しそうだが、激しい写真が付いているタバコの箱を持とうとは思わないし、人前で出したくはないだろう。(シガレットケースに中身だけ移し替える手段は有効だが)

参考までに載せてみる。

 

閲覧注意!!

f:id:xray-stardust:20190108201301j:plain

「タバコの新パッケージ」『キラの生活日記』2007.5.29 タバコの新パッケージ:キラの生活日記

うむ、やはりインパクトがすごい。これなら麻生太郎財務大臣に提出した日本禁煙学会のお願いも納得できる。

ガイドライン 15

研究では、健康に関する警告が写真と文章両方で表示される場合、文章だけの場合に比 べて以下のように効果的であるとされる。

  • より注意をひく
  • 喫煙者に対してより大きな影響力がある
  • 影響力がより長く持続する
  • タバコの使用による健康被害の危険性をより明確に伝達する
  • タバコによる健康被害についての認識をより深くし、禁煙の動機をより強く引き起こす
  • 禁煙することへの意思
  • 行動力を高める
  • 禁煙を試みる回数を増やす 

 2018 年 8 月 15 日 タバコパッケージの健康警告を画像による国際標準に改めて下さい。 一般社団法人 日本禁煙学会 理事長 作田 学

作田学. 2018.8.15 「タバコパッケージの健康警告を画像による国際標準に改めて下さい」. (一般社団法人 日本禁煙学会)http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/tp2018815.pdf

まとめ

喫煙者からむしり取るたばこ税やメーカーの売り上げによる税収より、喫煙者が発症した疾患に充てる社会保障費の方がよけいにかかりそうなものである。これは調べては無いのであくまで印象。

結論、たばこを一刻も早くやめるべき。自分にとっても家族や、国の財政にとっても。

もっと肩身が狭くなる前に卒煙してはどうですか?