屈折する星屑エセー

世はさだめなきこそ いみじけれ

診療放射線技師法違反!やっちゃれやっちゃれ!!

歯のX線撮影、無資格で1833人に3971回…容疑の歯科医ら書類送検

大阪市北区の歯科医院ザ・ホワイトデンタルクリニック大阪院」で歯のエックス線撮影が無資格で行われたとされる事件で、無資格撮影が約2年半の間に、患者1833人に対し3971回実施されていたことが、大阪府警への取材でわかった。
 健康被害の訴えはないという。府警は9日、このうち一部について歯科医師4人と歯科助手ら7人の計11人を診療放射線技師法違反容疑で書類送検した。
(中略)
 同法の規定で、エックス線撮影ができるのは医師と歯科医、国家資格の「診療放射線技師」に限られており、歯科医4人のうち2人は「治療に忙しかった」などと容疑を認めている。残り2人は否認しているという。
(中略)
 労働安全衛生法などで義務づけられたエックス線撮影者の被曝(ひばく)線量の記録と保管も行われていなかったという。『ヨミドクター』「歯のX線撮影、無資格で1833人に3971回…容疑の歯科医ら書類送検」2019.1.9.

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190109-00050014-yomidr-soci 

 1833人に、3971回ってあんたたいそうな数やがな!!!

この仕事に就いて初めて目にした。医師法薬剤師法違反ならいざ知らず、めったに見ることのない摘発事件である。半ば都市伝説と化した幽霊みたいな法律かと思っていたが・・・。

その法律の名は

診療放射線技師法

この法律こそが我々の資格の根拠法である。この技師法のおかげで我々は世の中に生かしてもらっており、食い扶持をいただける大変ありがたい法律である。

しかし実際に逮捕者が出たとはにわかには信じがたい。なぜ形骸化しているのか。今回はその訳を考えたいと思う。

 技師法形骸化のわけ

診療放射線技師法って何?

まず診療放射線技師法とは何だろうか。何が書かれているのか紹介してみたい。

診療エツクス線技師法をここに公布する。

診療放射線技師法

(昭四三法六三・昭五八法八三・改称)

(中略)

第一章 総則

(この法律の目的)

第一条 この法律は、診療放射線技師の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もつて医療及び公衆衛生の普及及び向上に寄与することを目的とする。

(昭四三法六三・全改、昭五八法八三・一部改正)

(禁止行為)

第二十四条 医師、歯科医師又は診療放射線技師でなければ、第二条第二項に規定する業をしてはならない。

(昭四三法六三・昭五八法八三・平五法二九・一部改正)

 その第二条二項はこちら

第二条

(中略)

2 この法律で「診療放射線技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線を人体に対して照射(撮影を含み、照射機器又は放射性同位元素(その化合物及び放射性同位元素又はその化合物の含有物を含む。)を人体内にそう入して行なうものを除く。以下同じ。)することを業とする者をいう。

(昭四三法六三・昭五八法八三・平一一法一六〇・一部改正)

つまり放射線を人体に向けて照射できるのは医師・歯科医師・放射線技師の3職種だけですよ、としている。(ここでいう放射線とは何を指すのか、という定義はまた改めて記事にしたい。)

大変わかりやすい条文である。お医者さん、歯医者さん、放射線技師しか人間を被ばくさせられませんよ、というわけである。

書類送検の原因は?

では今回の書類送検の原因は何か。記事によると歯科助手、歯科衛生士によるレントゲン撮影が同法に違反したという。これは誰の目にも明らかであるように違法行為である。放射線に関する専門知識を習得していないものが人体にX線を照射したのだから、これは当然逮捕されなければならない。以上、おしまい!

 

・・・とならないところが今回の事件の闇を感じるところである。

日本のすべての医療機関において診療放射線技師法が厳格に遵守されているか、という問いには公式的にはイエスであるだろう。統計上も違反はゼロのはず。そうでなくては地方厚生局からの厳しい社会的措置により閉院ということにも発展しかねない。

 氷山の一角疑い

だが実際には今回の歯科医院の事件は氷山の一角である。職員の少ないクリニックや歯医者はどこかしこも無資格職種によるX線撮影が横行している。

と、私は考える。断言はできないが私が利益追従の経営者ならばきっと同じように助手さんや看護師さんに医師代行でX線撮影をさせるであろう。

 無資格検査横行の理由

その1:人件費

大きな理由として人件費がある。来院患者全員がレントゲンを必要としない場合、一日に数回の撮影のためだけに放射線技師を雇うのか。撮影件数が少ないと放射線技師の給料分も賄えない。CTMRといった比較的保険点数の高い検査なら別だが、レントゲンのみの場合だと経営を圧迫しかねない。これは歯科医院もクリニックも共通の悩みだろう。

 その2:煩雑さ

また、放射線の照射を法令通りに医師や歯科医師が行う場合はどうだろう。患者のセッティング(ポジショニングという)を看護師や助手、衛生士にやってもらい、いざ撮影の瞬間だけ先生にスイッチを押してもらう。放射線の照射は有資格者によるものである。このスタイルをとっている医療機関も多いだろう。現在働いている病院の系列クリニックも簡単な体位が多いため、看護師さんがポジショニングをした後、先生がスイッチを押して撮影している。

ただこの場合はスタッフがポジショニングを終えたタイミングで先生が果たして撮影に来てくれるのか、という問題がある。先生は何かと忙しい。レントゲン撮影でコールしたタイミングが診察中だったり、処置中だったり手が離せないときにスイッチポンのためだけに来てくれるだろうか。このタイミングの悪さが日々重なればその内「ごめん、(スイッチを)押しといて」とならないだろうか。今回の歯科医師も治療で手が離せなかったとしている。

みんなもきっと経験あるはず

これらの理由以外にも無資格者によるレントゲン撮影が常態化してしまう原因があるかもしれない。放射線技師を置かないことでおそらく津々浦々、横行しているであろう無資格者による放射線照射。読者の方も歯医者やクリニックでレントゲンを撮ってもらうときに歯科衛生士さんや看護師さんが撮影してくれた、という体験があるはず。現に私も歯のレントゲンを衛生士さんに撮影してもらった記憶がある。このようにして診療放射線技師法は形骸化した法律となっていったのだ。

 

以上のようなあくまで私の憶測があるものだから

診療放射線技師法違反により書類送検

という字面のインパクトがかなり大きく新鮮味さえ覚えた。医師法薬剤師法ならまだしも技師法違反で!?という印象が強い。

なぜこの歯科医院だけ県警にバレたのか!?

厳格な法律の履行も無く、どこの施設でもやっていそうな無資格照射。なぜこの歯科医院だけ挙げられたのか。厚生省に届出のある医院すべてにカメラが付いているならともかく、うまくやればごまかせるはず。

私の推測によれば、ズバリ

タレ込み

挙げられてないところは監査をうまくかわしている、それなりのやり方があるのだろう。当歯科医院もこれまでも同じ方法ですり抜けていたと思われる。しかし、どうしても県警が動かざるを得なかった。それは誰かによる通報。これが捜査の一番濃厚な動機だと考える。

タレ込みだとして、誰がなぜ?というところまでは言及できないが、後ろめたいことをしている医療機関は冷や水を浴びせられたことだろう。

一番の被害者は誰?

もちろん無資格者に被曝させられた患者さんであることは間違いない。仮に適正な放射線量を浴びていたとしても、気分が悪いに違いない。もっとも線量管理も怠っていたようなので、適正値かどうかも保証はない。現在、横着をしている医院はよく考え直してほしい。誰が撮影してもどうせ同じ画像だからという理由で、撮影者は誰でもいいのか?それは患者さんの気持ちを無視していることにならないか?

自分が無資格者によって被曝させられたら?

放射線という日本でもっとも神経質なモノを扱っている以上、放射線の学習をしていない人にあなたは身を任せられるのか?レントゲンは比較的線量が低いというのは勉強した人間だからこそわかるのであって、一般の人は「放射線」と聞くだけで神経過剰になることが理解できないのであろうか。

主張

放射線は有資格者に曝射させよ。

 

注意)今回の記事は私の憶測にすぎない部分が大きく、裏付けるデータ等はありません。小規模医院、歯科全てが法令違反しているという趣旨ではありません。