屈折する星屑エセー

世はさだめなきこそ いみじけれ

岡山・四ツ手網で極上にアホな時間を過ごす。紹介編

 

皆さんは四ツ手網漁というものをご存知だろうか。

検索したら簡単に出てくるが、あえて説明させてもらおうと思う。

 

四ツ手網とは

かのロマン主義の文豪・徳富蘆花が『自然と人生』の中で紹介している漁法である。

ちょっと拝借してみよう。下段の最初の段落「霞ヶ浦辺〜」の部分を読んでいただきたい。

 

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自然と人生 (岩波文庫)  

と、四ツ手網とはこんな具合なのだ。

徳富蘆花のそれは川での漁法なのだが、筆者達は海でこれをやってきた。

しかしあまりイメージつかないと思われるので百聞は一見にしかず、写真をご覧あれ。

四ツ手小屋外観

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大変荒っぽいというより雑な感じの漁というのが伝わってくる一枚である。

このように掘っ建て小屋が海に面しており、小屋の先に設置された網を上下させて魚を獲る。ただそれだけ。超シンプル。

 

漁法

徳富蘆花が見たものは“ろくろ”でもって網を動かしていたようだが、時は2019年。

筋肉など使わない。モーターがその役を担ってくれている。

写真右手に見える二つのボタンがそれである。

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指先だけで網を操れるのだ。さすがにこのサイズの網を肉体で上げ下げするのは骨が折れる。モーター万歳。

さて、実際の方法である。

  1. [下]ボタンで網を沈める
  2. 待つ
  3. [上]ボタンで網を上げる
  4. 魚がかかっていたら長い柄のついた柄杓で魚をすくう
  5. たぐり寄せ、トロ箱(写真左)にあける

たったこれだけで超新鮮な魚を手に入れることができるのだ。

恐ろしく簡単な漁である。これでそれなりの魚が獲れたら釣りをするのがバカらしく思えてくる。釣り業界真っ青な漁法となっている。

果報は寝て待て

では一体どれくらいの間、網を沈めれば良いのかという問題がある。

しかしこればっかりは誰にもわからない。

数分でかかる時もあるし、数時間待っても小物ばっかりという時もある。

ここが釣りと大きく異なるところで、魚を得るために何のアクションも必要としないのだ。その間いかにして時間を潰すか、むしろその方が大変かもしれない。

そう、だからこその小屋なのだ。

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小屋にはエアコン、冷蔵庫、テレビ、炊事場が設置されている。(小屋によって設備の違いあり)インフラは最低限整えられている。

つまり、網を上げるまで各自おもいおもいに時間を過ごせばよし。

引用した徳富蘆花の文章にも酒を飲んだり弁当食べたりとの記述が見られることから、今も昔も“果報は寝て待て”スタイルなのだと伺える。

 

このように四ツ手網とは完全に人をダメにする漁法であることは間違いない。

出来るだけ労力を惜しみまくり、いかに簡単に魚を手に入れるか。

これ以上の怠惰な漁は知らない。

 

何が獲れるのか

今回利用させてもらった近藤邸の主人、近藤さんによると

イカ、サッパ、タチウオ、ハゼ、カニ、ヒラメ、マゴチ、エビ・・・etc

何とも豊富な魚種が期待できる。

これだけ種類があればどんな料理でも楽しめるであろう。

 

宿泊費用は?

これも四ツ手の小屋によってまちまちなので問い合わせてほしい。

今回は近藤邸の一番大きな部屋を借りた。

収容人数12名

一泊12000円

九蟠漁協 四つ手小屋

筆者達グループは6人で2泊したので1人4000円/2泊という大変手頃な価格で利用できた。

小屋単位での清算なので利用する時は人数が多い方がお得になる計算だ。

三日間も無茶苦茶な時間を過ごさせていただいて4000円は破格といえる。

 

調理器具および食器

包丁、おたま、鍋、まな板などなど一通りの料理ができるようには用意されている。

洗剤、スポンジもあるため食器や調理器具が汚れても安心だ。

ただし、ここは小屋であってゲストハウスではない。

常に清潔に管理されていると思ったら大間違いである。

タフなメンタルが必要とされる、それが四ツ手小屋だ。

潔癖な人は自身のナイフや食器を持ち込むことをオススメする。

 

調味料

もちろん、常備されている。

・・・前回小屋を使った人のでよければ。

その前回が昨日かもしれないし、ひと月前かもしれない。使用期限が切れている可能性もあるのでこれも各自用意して行った方が確実だろう。

 

アクセス

最寄り駅:岡山赤穂線「西大寺」駅

九蟠漁協 四つ手小屋
〒704-8161
岡山県岡山市東区九蟠1145
TEL.086-948-2073
FAX.086-948-2569

四ツ手小屋は最寄りの西大寺駅から距離があるため、現地まではタクシー利用になると思われる。

追加で必要物品の買い出しなどを考えると街中からレンタカーを借りる方が賢明だ。

 

注意点

さて、超ワイルドな小屋なのでいくつか注意してほしいことがある。

 

風呂ナシ

小屋によっては風呂・シャワーが無い。というかほとんど無いのではなかろうか。

ということなので近隣の銭湯を利用してほしい。

ぽかぽか温泉

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岡山のスーパー銭湯|ぽかぽか温泉・岩盤浴

そりゃ、ワイルド小屋だから虫くらい出る。

Gもいるし、フナムシもいる。この子達が苦手な人はお呼びでない。

しかし蚊取り線香があるとGOOD!

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トイレ

トイレは筆者のブログで度々登場する、映画『トレインスポッティング』の“あの”トイレを想像していただきたい。

[写真は自主規制]

おそらく、風呂無しや虫の襲来が平気でもこのトイレ問題で大概の人はノックアウト。

花火大会の仮設トイレ以上の禍々しさがあるため、相応の覚悟を持ってほしい。

女子は確実にNG。トイレさえきれいになれば若いお客さんが増えるのに、と思っている。

 

季節選び

真夏と真冬は利用したことが無いため、冷暖房設備がどこまで頑張ってくれるか不明。

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魚種にこだわらないなら春秋を選んだ方がベター。

晩秋から初春までは冬用寝袋必須!!

一応コタツもあるが、全員入れるサイズではないのでハミ出た時のことを考えると防寒具は多い方が心強い。

もちろん夏の間でも寝袋があると快適。

布団はあって無いようなものだと考えてほしい。

 

次回予告

以上、四ツ手網の簡単な紹介でした。

次回は実際に四ツ手小屋で二泊三日過ごしてみた様子を報告します。

 

一体、何が獲れたのか!!

 

お楽しみに。

  

www.ladystardust.space

 

余談

職場で釣りと登山が好きな人から借りた本を読んでいると、突然出てきた大昔の四ツ手網エッセイ。しかもその著者は徳富蘆花。今回一緒だった友人達は大学の仲間であり、徳富蘆花は我々の大先輩。偶然なのか必然なのか、運命的なものを感じました。

四ツ手網紀行は写真動画が大量で、というのも各自好き勝手に撮りまくってそれを共有したもんだから整理するのもめんどくさくて、ブログ記事にするつもりはなかったのですが蘆花先輩にまとめろ!と言われたような気がしましてね。ようやく重い腰をあげてみました。

四ツ手網体験を考えている方の参考になれば幸いです。