屈折する星屑エセー

世はさだめなきこそ いみじけれ

CT造影検査はなぜ問診票・同意書を取るのか。最悪死ぬ副作用について

今日は真面目に医療職らしい記事を書いていきます。

 CT(computed tomography)の紹介

みなさんはCT検査を受けたことがありますか?

ドーナツみたいな機械にベッドごと入っていくテレビでよく見るアレです。ドラマや健康番組でリアルタイムで体の輪切りの画像が出てきますよね。

過去の記事で喫煙者の肺の写真を載せています。

www.ladystardust.space

私は撮影する側なので毎日患者さんを輪切りにしているのですが(って結構なスプラッター野郎ですね)一番気を遣うのが造影剤を用いた造影CTとよく言われる種類の検査です。

骨折や肺炎などでCTの検査は受けたことはあるかもしれませんが、造影剤を使ったCT検査はそう経験が無いと思います。若年者や健康に年齢を重ねてきた人は造影剤とは無縁の生活を送っていることでしょう。良いですね! 

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「造影剤」と記事の中で表記していますが、これらはすべて「CT用造影剤(非イオン性造影剤、イオヘキソール注射液)」のことを指しています。MRや上部消化管の造影剤の意は含んでおりません。

 造影CTとは

さて、ここからが本題です。

造影CTの検査を受けたことがある方もいらっしゃると思います。

造影剤自体はオートインジェクター(自動で入れる注射器)で血管から入れていきますが、だんだん体が熱っぽくなるあの薬です。股間の方にもじわっと熱感が来るため「おしっこ漏れた!」と感じた人もいるでしょう。失禁していませんのでご安心を。

こんなかんじの機械↓

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造影CTはがんの鑑別や脳・心臓血管障害や尿路の診断、3D作成などなど病気を見つけたり画像作成に貢献したりと幅広く活躍してくれるなかなかデキるやつなんです。造影剤が世界でどれだけの人の命を救っているか計り知れないほどです。

しかし美しいバラにはトゲがあるように、この造影剤もやっかいな欠点が存在しています。そう、副作用です。

造影剤の副作用について

高い副作用発生率は本来なら薬として認可が下りないほどの数値です。治療薬ではなく検査薬のため副作用の発生確率は許容範囲内として世界的に使われているのだと思います。ただ、確率が高いといっても症状によって0.Xパーセント~数パーセントなので全員発生するわけではありません。

しかしながら副作用の発生には健康状態やその人の特質によって症状も頻度も大きく変わってきます。そのためにあらかじめ問診票に記入してもらい病院側が造影剤を投与しても良いか、重大な副作用が発生しないか患者さんの状態を把握しておく必要があるのです。

造影剤の成分

造影剤は何でできているのでしょうか。その成分を知りたいと思います。手元に第一三共株式会社が製造販売している「オムニパーク300注シリンジ110ml」がありますので、添付文書を見てみます。

薬効薬理

オムニパークは、トリヨード芳香環を基本骨格に、化学的に安定な親水基を導入したイオヘキソールを主成分とする非イオン性低浸透圧造影剤である。

本剤はヨードによりX線吸収率を向上させ、X線診断能を上げる。

 オムニパーク注添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/7219415G1050_1_15/

・・・日本語でOK?な文章ですが、ヨードを使ってX線の透過率を変えて画像に濃淡をつけてますよ、ということですね。ざっくりいうならば。

製薬会社や商品は違っていてもCTの造影剤の成分は日本全国どこでもヨードが含まれていることには変わりありません。

禁忌と原則禁忌(慎重投与)

ではここで具体的にCT用造影剤の添付文書より【禁忌】と【原則禁忌】をみてみます。

禁忌

(次の患者には投与しないこと)
1.ヨード又はヨード造影剤に過敏症の既往歴のある患者
2.重篤な甲状腺疾患のある患者

[ヨードが甲状腺に集積し、症状が悪化するおそれがある。]

オムニパーク注添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/7219415G1050_1_15/

原則禁忌

(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)

1.一般状態の極度に悪い患者

2.気管支喘息のある患者

[副作用の発現頻度が高いとの報告がある。]
3.重篤な心障害のある患者

[本剤投与により、血圧低下、不整脈、徐脈等の報告があり、重篤な心障害患者においては症状が悪化するおそれがある。]
4.重篤な肝障害のある患者

[症状が悪化するおそれがある。]
5.**重篤な腎障害(無尿等)のある患者

[本剤の主たる排泄経路は腎臓であり、腎機能低下患者では排泄遅延から急性腎障害等、症状が悪化するおそれがある。]
6.マクログロブリン血症の患者

[類薬において静脈性胆嚢造影で血液のゼラチン様変化をきたし、死亡したとの報告がある。]
7.多発性骨髄腫の患者

[多発性骨髄腫の患者で特に脱水症状のある場合、腎不全(無尿等)があらわれるおそれがある。]
8.テタニーのある患者

[血中カルシウムの低下により、症状が悪化するおそれがある。]
9.褐色細胞腫のある患者及びその疑いのある患者

[血圧上昇、頻脈、不整脈等の発作が起こるおそれがあるので造影検査は避けること。やむを得ず造影検査を実施する場合には静脈確保の上、フェントラミンメシル酸塩等のα遮断薬及びプロプラノロール塩酸塩等のβ遮断薬の十分な量を用意するなど、これらの発作に対処できるよう十分な準備を行い、慎重に投与すること。]

 オムニパーク注添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/7219415G1050_1_15/

かなりありますね。禁忌はダメ!ですが、原則禁忌はドクターの判断で必要に迫られた場合は慎重に使用してくださいね、ということになります。

私たち技師がよく聞くのは“喘息”になったことがあるかです。副作用の発現が高く既往の患者さんの数がそこそこいるからです。施設によっては呼吸器のドクターを呼んで状態を見ながら造影CTを行うところもありますね。

余談

先日も患者さんと話していたのですが、同意書を取るときに看護師さんの口から副作用について怖がらすようなことばかり言われたと。それでCTの検査は恐ろしくなったと話されていました。看護師さんは白衣の天使ではなくブラックデビルだという患者さんや医療関係者は多いですね。真相はさて置き笑

看護師さんも驚かすつもりで話しているのではなく、できればリラックスして検査を受けてほしいと思っているはずです。しかし命に関わる症状が出る可能性はゼロではないため説明責任インフォームドコンセントの観点から同意を得なければいけないのですね。

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 結語 

面白くないくそ真面目な文章をここまで書いてきて何を伝えたいかというと

問診票はうそ偽りなく記入してください

のひとことです。万が一副作用が発生した時の対処方法が違ってきますからね。

造影CTの検査前に問診票や同意書を取る理由がなんとなくわかってもらえたら幸いです。

造影剤を使う時が来たら、看護師さんはホワイトエンジェルだと思いますので怖がらずにしっかりお話を聞いてくださいね。