屈折する星屑エセー

世はさだめなきこそ いみじけれ

医療情報「電子保存の3原則」について基礎から考えてみました。3原則だよ!!

お世話になっております、星の屑です。

今日もどこの誰にニーズがあるのかわからない記事を書いていきます。

はじめに

超高齢社会が到来した日本。だれでも医療機関にお世話になる時代です。

いやいや私は大丈夫!

と自信のある人はただ若いからであって、年齢を重ねた場合を考えてみてほしいのですが死ぬまで病院にかからない人は皆無だと思います。

国民ほぼ全員が医療機関を受診する現代社会。しかしながら病院とは円満にお別れできる場合だけではありません。考えたくはないですが医療訴訟の可能性も視野に入れておかなければいけません。

今回の記事のきっかけとなったのはきんたろうさんのブログです。説明が二転三転する病院側との戦いの様子が書かれています。この中で過去の電子保存されていた画像に関しての記事があります。

www.kintaro-o.com

そこで私も医用画像を扱う端くれとして、電子保存について見直してみようと考えました。

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今日は電子保存を行う上でどの医療機関でも必ず遵守しなければならないガイドラインの紹介です。本来の文書をわかりやすく説明した解説用PDFから。

従来は紙媒体による管理が義務付けられていた診療録等が、平成11年4月の厚生省通知「診療録等の電子楳体による保存について」によって規制緩和され、いわゆる「電子保存」が認められた。(中略)診療に供する情報を扱うが故の医療固有の要求事項が示されている。これがいわゆる「電子保存の三原則」と呼ばれるものであり、「真正性」「見読性」「保存性」の3つの要件で構成されている。

医療情報システムを安全に管理するために「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」すべての医療機関等の管理者向け読本 平成 21 年3月 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/dl/s0301-6b.pdf

電子保存の三原則とは

これまで紙運用だったカルテやフィルムもしくはペーパー出力であった検査画像が技術革新によって電子カルテや電子媒体に移行していることを受け、アナログ時代とは異なりデジタル特有のガイドラインを策定しましたよ、という流れがあります。

紙とは違って運用がはるかに便利になった医療情報のデジタル化ですが、その長所が弱点にもなりえます。

その部分をしっかりと補いましょうというのが「電子保存の三原則」なわけです。
ではそれぞれを具体的にみていきます。

真正性

正当な人が記録し確認された情報に関し第三者から見て作成の責任の所 在が明確であり、かつ、故意または過失による、虚偽入力、書き換え、 消去、及び混同が防止されていることである。なお、混同とは、患者を 取り違えた記録がなされたり、記録された情報間での関連性を誤ったり することをいう。

ポイント
発生する各種のデータに対して、「作成責任の所在と、内容の確定方法 の明確化」が必要である。その上で、技術的対策、運用的対策等を組み合 わせて責任の所在の明確化と完全性の確保(虚偽入力、書き換え、消去、 及び混同の防止)を行う必要がある。

デジタルデータですから容易に改ざんや消去ができます。
そこで真正性は

・だれが記録したのか責任がはっきりしている。
・わざとでもミスであっても
 ウソを書いている、書き換えている、消した、患者間違いしたなど

これらを防止しなさいと言っています。さも当然すぎますね、これは。

そしてデジタルデータですからネットワークで送受信してなんぼの技術です。

上記に加えてネットワークを介する場合はハッキングや改ざんのリスクも考えて真正性を確保しなさいとしています。

見読性

電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態にできることである。 ただし、見読性とは本来「診療に用いるのに支障が無いこと」と「監査等に差し支えないようにすること」であり、この両方を満たすことが、 ガイドラインで求められる実質的な見読性の確保である。

ポイント
必要に応じてとは、「診療」、「患者への説明」、「監査」、「訴訟」等に際 して、それぞれの目的に支障のない応答時間やスループットと操作方法でということである。

「必要な情報を必要なタイミングで正当な情報利用者に提供できなかったり、記録時と異なる内容で表示されたりすることは、重大な支障となる」

このためバックアップやシステム全般の確保をしなさいとしています。

これも当然ですね。

情報を必要としている正当な人が見たいときに見られない。そして出てきた情報が最初と違うとなったらなんのための保存なのかわかりません。一体何を保存したの?てなりますね。それ監査や裁判で言い訳通用する?レベルです。

私など画像検査に携わるものは特に、保存したと思った画像が出てこなかったりデータが壊れていたりするとそれはもう叫びます。心の中で。こんなケースは経験したことはないですけどね。あってはならないことです。

保存性

保存性とは?
記録された情報が法令等で定められた期間に渡って真正性を保ち、見読
可能にできる状態で保存されることをいう。

上2つの真正性見読性が満たされていれば十分なのではなく、どれくらいの期間保存するかも重要です。医療機関は法律で定められている期間は保存しなければなりません。
医療情報の保存期間は細かく分類されていますので興味のある方はググってください。みなさんが毎年受けている検診の情報や治療の情報は医療機関に義務づけられた期間はしっかりと保存されている、はずですから安心してください。
そして保存性の確保に対する脅威をあげています。

診療録等の情報を電子的に保存する場合に、保存性を脅かす原因として、
下記のものが考えられる。
(1) データ保存自体が機器やソフトウエァの障害等によりなされ ていない可能性
(2) 記録媒体、設備の劣化による不完全な読取
(3) コンピュータウイルスや不正なソフトウェアを含む設備・記録
媒体の不適切は管理による情報の喪失
(4) システム更新時の不完全なデータ移行
これらの脅威をなくすために、それぞれの原因に対する技術面及び運用
面での各種対策を施す必要がある。

電子保存に頼る私としては脅威の(1)が一番怖いです。データが本体やサーバー(PACSなど)にさえ入っていればなんとかなるのですが保存自体されてなかったらもう土下座しかありません。病院での心霊話とか比じゃないほどの恐怖ですね、これは。

まとめ

もう、長いよ!あんた長すぎだよ!! 3つしかない単語にどれだけ時間かけてるのよ。
今回の記事も国試受験生なら三原則を覚えるだけでいいのですが、しっかり理解しようとなるとここまで長文になるんですね。私も初めて厚労省の文書で確認しました笑
ということで電子保存の三原則の紹介でした。

もし医療訴訟になってもこれが守られてないのを立証できれば有利になるでしょうね。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

ごきげんよう。

参考文献

医療情報システムを安全に管理するために「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」すべての医療機関等の管理者向け読本 平成 21 年3月 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/dl/s0301-6b.pdf