屈折する星屑エセー

世はさだめなきこそ いみじけれ

TIA(一過性脳虚血発作)にはCTよりMRIだよ。ラジエーションハウス大丈夫?

最近寒いですね、絶賛寒の戻り中の日本ですが体調崩されていませんか?

ポンコツ技師、星の屑です。

 

ウランを自宅で精製した高校生のことを記事にしようかと思いましたが、同位体や核の連鎖反応など考えていたら寝落ちしておりましたのでもう少し身近な話をしようと思います笑

 

月9ドラマ「ラジエーションハウス」で主役の五十嵐技師(窪田正孝)はTIAの症状が出ているバスの運転手さんを救急車に乗せるとき、救急隊員に搬送先の病院でCT検査をお願いします、と言ってました。

おそらく視聴中の全国の技師は

TIAでCT検査を最優先するの・・・?

と思ったはずです。

当然筆者も

天才、しっかりしろよ!!

と心の中で叫びました。

ドラマがあんまりテキトーなことを言うのでしっかりした情報を届けたいと思います。

 

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ではTIAとは何でしょうか。そこから見ていきます。

TIA(一過性脳虚血発作)とは

一過性脳虚血発作

手足のしびれや運動障害、言葉の障害などの脳卒中の症状が、短時間、通常は1時間以内に消失してしまう発作で、画像診断では脳梗塞の病変が認められないものを一過性脳虚血発作と呼びます。英語では、頭文字をとってTIA(Transit Ischemic Attack)といいます。”虚血(きょけつ)”とは、血液の流れが不十分で、何らかの神経症状が出現した状態のことです。
脳内の血管の中で、小さな血栓が一時的に血管を閉塞させると神経症状が出現しますが、何らかの理由で再び流れ出すと、症状は回復します。多くの発作は数分間で消失するか、長くても1時間以内に回復するため、そのまま放置する人が多いようです。しかしこの発作は、その後大きな脳卒中の発作をおこす前兆です。TIAの後には、48時間以内に脳梗塞を起こすことが多いと報告されています。TIAは、その基盤に動脈硬化や心疾患が存在することを示します。TIAを疑う症状が生じた場合には、直ちに病院へ行って脳神経外科か神経内科の専門医の診察を受けてください。
しかし脳梗塞を起こした方の中で、その前兆発作であるTIAが先行するのは20-30%とされています。

一過性脳虚血発作(TIA)-聖マリアンナ医大東横病院脳卒中センタ

http://www.toyoko-stroke.com/explain/ikkasei.html

脳梗塞の前兆の症状ですね。またTIAが実際に脳疾患につながる確率も記述されています。

TIA発症後90日以内に脳卒中を発症する危険度は15~20%と報告されています。

約2割も90日以内に脳卒中が発症するのはかなり危険度高いです。直ちに病院に行ってと注意喚起しているのも頷けますね。

TIAを疑ったときの検査

TIAの症状が出たときに行われる検査は各種あります。

こちらのサイトでわかりやすく解説されていますので是非ご覧ください。

medicalnote.jp

脳梗塞にCTはほとんど役に立たない

ドラマではCTで何でも解決するような演出でしたが、脳梗塞においてCTはあまり意味がありません。厳密にいえばEarly CT signというCT画像所見もありますが、脳梗塞にはMRIが最優先されます。

CTでは画像に変化が現れるまでに時間がかかり、TIAや発症早期の脳梗塞では異常があっても捉えることができません。もしもCTで画像変化が見えるときは、既に脳梗塞を起こしてしまった後のことです。したがって、「TIAを疑ってCTを撮りましたが異常なかったので心配ありませんよ」という説明は意味がないということになります。

一過性脳虚血発作(TIA)の検査―原因を明らかにするために | メディカルノート

TIA疑ってCTだけ撮って家に帰されたらすぐにセカンドオピニオンです。もしくはMRIを撮ってくれと頼んでください。当直帯は脳が専門ではないドクターも当番でいるかもしれません。

脳梗塞にはMRIだよ

これは医療職では常識です。技師は当然として、脳血管障害後のリハビリを担当する作業・理学療法士さんの国試にも出るところです。

これまで、TIAは症状だけで診断をしていくものと考えられており、MRI画像での変化は診断の参考にはされていませんでした。しかし、実はTIAにおいても30~40%の確率で、MRI上に発症早期の脳梗塞と同様の変化が現れることが分かってきました。

一過性脳虚血発作(TIA)の検査―原因を明らかにするために | メディカルノート

これは知らなかったですが、かなりの確率でTIAは脳梗塞と同じ所見が得られるのですね。

では脳梗塞発見に役立つ代表的なMRI検査の画像を引っ張ってきますね。

拡散強調画像(DWI)

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拡散強調画像 - Wikipedia

画像の白くなっているところが脳梗塞が出ている部分です。 

ちなみにこの拡散強調画像は1分ほどで撮影できるためMRI検査としては超スピードなシーケンスです。t-PAという血栓溶解剤を使うには時間制限がありますから拡散強調画像は非常に頼もしいやつなんです。

MRA

脳梗塞で悩まない! - 読影を中心にRadioGraphica -診療放射線技師のバイブル-

脳血管だけを描出できる撮像方法です。矢印のところから先の信号が消えているのがわかると思います。反対側と比べて詰まっているということですね。

まとめ

TIAを含む脳梗塞についてごくごく簡単にMRIの役割を紹介しました。

前回も記事で言及しましたけど

トレンディドラマ(死語)だからってテキトーなこと言うんじゃないよ!

と。この一言が言いたいだけ。なぜ筆者は仕事が終わってまでMRIの画像探しをせにゃならんのだ!もう見たくないよー。

医療ドラマだからって全て信じちゃダメですよ。嘘ばっかりですよー!

 

それにしても五十嵐技師は国試受かって就職したんだろうか、来週からの彼の活躍は大変心配です。その度に我々技師は訂正せないかんのだろうか・・・。 

 

はい、参考にさせていただきましたブログ紹介です。

こちらは同業者として尊敬せざるを得ないブログです。素晴らしいです。

radiographica.com

今回も大変面白くない記事にお付き合いいただきありがとうございました。

冒頭の症状が出たときはすぐMRI撮ってきてくださいね!