屈折する星屑エセー

世はさだめなきこそ いみじけれ

「日本のいちばん長い日」を観て戦争と日本について考える。

最近知ったのだが今の小学生には夏休みの登校日が存在しないのだと。

筆者は小学生の時は8月6日は登校日で戦争に関する授業があった。

内容は原爆の悲惨さや沖縄本土決戦の凄惨さなど戦争の愚かさを学ぶものであった。

それが座学であったり戦争体験者(当時はまだピンピンしていた)の講話であったり映画だったりしたのだが、まだ純粋な小学生にとってそれらの平和学習は退屈であったけれど強烈な印象を植え付けるものでもあった。

加えて、その後には夏休みの宿題の進捗状況を担任がチェックするという検閲が設けられていて平和学習でブルーになっているところに、さらに叱責による追い打ちをかけるという気の重い一日であった。

ようやく解放されて校舎の外で見る青空と入道雲はどこか精彩を欠き、心は曇天模様のままだった。

この空からB-29が襲来して来たのかと子供ながらに錯覚すると帰ってから遊びに行こうという気が削がれてしまう。8月6日はそんな一日だった。

 

では今の小学校ではどんな平和授業がなされているのだろう。

この歳になってもあの嫌な登校日の刷り込みのせいなのか、8月にはいやが応でも戦争のことを考えてしまう。

しかしこのような我々の世代とは異なり今の世代は夏真っ盛りに平和について自発的に考えることはないのかもしれない。

そんな子供達やその親にも勧めたいのが『日本のいちばん長い日』である。

日本のいちばん長い日

監督・岡本喜八、主演・三船敏郎版はちょっと古いので2015年製作のこちらを勧めたい。

きっと子供には難しい。さらに親にとっても難解な部分もあるかと思う。

日本史選択者だった筆者でも所々忘れていたし何を喋っているのか理解できない部分も多々ある。時系列や用語はこちらを参考にしながら観てほしい。

cinema.ne.jp

この映画は大東亜戦争末期の日本の首脳たちの苦悩が描かれている。

鈴木貫太郎首相(山崎努)、陸軍大臣阿南惟幾(役所広司)、昭和天皇(本木雅弘)、暴発する陸軍将校(松坂桃李)、内閣書記官長迫水久常(堤真一)がメインキャストであり、徹底抗戦かポツダム宣言受諾かを迫られる彼らの群像劇となっている。

 

原爆が落とされ、無数の民が一瞬で灰になったときから歴史が大きく動くのが伝わってくる。大和を沈められ、アメリカの国力を正確に把握し負けを見越していた海軍と一億総火の玉本土決戦で一人になるまで戦い抜く覚悟の陸軍の対立、決着のつかない会議を終わらせる昭和天皇のご聖断。

そして玉音放送を巡るクーデター将校と録音盤を守る文官の戦い。 

 

原作を読んでない筆者は終戦はこのようにしてなったのかと勉強させてもらった。

 

東條英機など陸軍急進派が国体の護持のため日本国民最後の一人になるまでアメリカと戦うと主張するのだが、これらの暴発組に対する昭和天皇の考えはこうである。

天皇としての責務は日本国民と文化を守ることであり、そのために日本国民には生きてもらわねばならない。アメリカは私を殺さないであろう。それゆえポツダム宣言を受諾し、戦争を終わらせる。

と、正確ではないがこのようなことを言われる。

本作品中でもっとも感動した場面だ。

 

そして松坂桃李演じる若き青年将校。ポツダム宣言は受諾せずアメリカと本土決戦の覚悟を決め、狂信的、盲目的に総玉砕を唱える。

状況を見極めず、精神論だけで勝利できるとする楽観的思考かつ希望的観測がクーデターまで引き起こす。この部分が海軍とは違うところだ。

終戦しなければ被害が甚大になることも、彼らの精神的支柱である天皇への責任が重くなることも、抗戦の口実にしている国体の護持すらも危うくなることも、一切が思考から外れている。根拠のない、とある思考に取りつかれて国を滅ぼしかけた思想である。この全体主義から日本国民は学ばなければならない。

 

しかし、陸軍急進派もポツダム宣言受諾派も共通点がある。

天皇を守り、日本を愛していたのだと。

愛国心というものだ。

 

受諾か抗戦かという手段は違えども天皇と日本を守るためのものだったと言える。

右も左も日本のために戦っていたのだ。

 

例えば今回の日韓対立でも韓国の代弁者となる日本の一部政治家やマスコミ。

彼らは祖国を愛せないのだろうか。

「日本のいちばん長い日」を見て、当時の日本人がいかに日本に誇りを持っていたか、彼らが守りたかったのは何かしっかり勉強すると良い。

 

話はそれたが、戦争を考える8月にオススメしたい一本である。

以上、また真面目な話で終わります。

 

2019 8 17 追記

ぽこ氏によるレビューです。筆者がブログを始める前に書かれていたものですね。それで気づかなかったわけだ。この方のおっしゃる通り。

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