屈折する星屑エセー

本職は医療従事者ですが雑記帳として綴ります。

放射線が人体に与える影響は2種類しかないのだ!放射線は怖くない!車の方が人を殺してるよ。

タイトルの通りでございます。

放射線が人間に作用する影響はなんかたくさんありそうな印象ですが、実は2つしか存在しないのです。

今回は簡単に紹介していこうと思います。

日本人の放射線観

“放射線”と耳にすると日本人は特に敏感に反応しますね。
蛇に睨まれた蛙のように“放射線=恐怖”として思考停止に陥りやすいように思います。

反原発団体に代表される放射線アレルギーというものが日本人にはDNA的に刷り込まれているように感じます。

でもそれは仕方がないのですけどね。HIROSHIMA,NAGASAKIと2度も核を落とされた唯一の被爆国でありながら、さらにFUKUSHIMAとみたび核による惨禍に見舞われたわけです。戦中世代にとどまらず、まさか現世代も核によってすべてを奪われるとはだれも考えてなかったと思います。

しかし放射線は人間の社会において欠かすことのできないインフラになっています。どんなに放射線が嫌な人でも今の生活レベルを維持するためには電力・医療・計測・殺菌などなど放射線に頼らざるを得ない訳ですね。

話は脱線しますが、個人的にそんなに放射線が嫌ならローソクで夜を過ごす、飛行機に乗らない、食事もしない、健診も受けないという生活をしたらどうですか、と提案したいですな。上空は地上より放射線が降り注いでいますし、食べ物からも人は被ばくしています。

そうじゃない!原発がダメなんだ!!

と声が聞こえてきそうです。話が長くなりそうなので本題に戻します。

頭ごなしに絶対ダメ!ではなくて、要は上手に放射線と付き合えばいいのですよ。

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放射線による人体への影響

確定的影響確率的影響という名称のふたつのみなんです。
それぞれに該当する放射線障害がありますので、影響と病気セットで考えてください。
ではその影響の種類について考えてみます。

 

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環境省_確定的影響と確率的影響

https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h29kisoshiryo/h29kiso-03-01-04.html

確定的影響

確定的影響の特徴は、これ以下なら影響が生じない、これ以上なら影響が生じるというしきい線量が存在するということです。しきい線量を超えると、一度にたくさんの細胞死や変性が起こり、影響の発生率は急激に増加します。

環境省_確定的影響と確率的影響

https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h29kisoshiryo/h29kiso-03-01-04.html

確定的影響は閾(しきい)値という“これ以上ならアウト”という線量が設定されています。裏を返せば、しきい値を越えなければ人体に影響はありませんよ、ということです。線量の管理さえしっかりしていれば放射線障害の発現を阻止できるというものです。
非常にシンプルでいいですね。

確率的影響

確率的影響にはしきい線量はないと仮定されています。この仮定に基づくと理論上どんなに低い線量でも影響が発生する確率はゼロではないことになります。100~200ミリシーベルト以下の低線量域については、放射線被ばくによる確率的影響を疫学的に検出することは極めて難しく、国際放射線防護委員会(ICRP)は、低線量域でも線量に依存して影響(直線的な線量反応)があると仮定して、放射線防護の基準を定めています。

低レベル放射線によるがんのリスクを評価する場合には、主に広島・長崎の原爆被爆者集団の疫学調査の結果を用いています。放射線被ばく線量とがん発生の関係はおよそ150ミリシーベルト以上では、ほぼ直線的に線量と共にリスクが上昇することが分かっています。しかし、150ミリシーベルトより低い線量では、直線的にリスクが上昇するかどうかは明らかではありません。

環境省_確定的影響と確率的影響

https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h29kisoshiryo/h29kiso-03-01-04.html

確率的影響には確定的影響に設定されていたしきい値がありません。つまり、障害の発生をコントロールできないということです。

被ばく線量が上がると障害の確率が高まるということであって、どれだけ浴びたら確実にどんな症状が出るとは言えないわけですね。

さらに、上の図の点線になっている部分でみなさん敏感になっています。

日常生活をしていて実線に該当するような放射線被ばくは無いと思います。

 

被ばく線量のポイントはこれ

  • 100~200ミリシーベルト以下の低線量域は確率的影響の検出が難しい
  • 150ミリシーベルト以上では、ほぼ直線的に線量と共にリスクが上昇

150ミリシーベルトを越える可能性のある被ばく量の多いIVRや放射線治療などは国民誰しも受ける医療行為ではありません。

この点線は何を表しているのか。

シーベルトとか最近聞きますが、全然ピンときませんよね。

確率的影響の点線部分を、わかりやすくいうとちょっとの被ばく量でも障害が出る可能性があるということです。あくまで可能性がある、という表現です。
これは困りましたね。

例えば、がん

確率的影響でもっとも代表的なのが“がん”です。ほんのコンマ何秒放射線をあびてもがんになる可能性はゼロではありません。

では、こういう場合はどうでしょう?

ケーススタディ

A氏は小さい頃、手の付けられないやんちゃ坊主でした。

ある時、やんちゃなばっかりに骨を折ってレントゲン撮影をしました。

そこでX線による被ばくをしました。

60年後、A氏がん発症。

A氏は「おれのがんはあの時のレントゲン撮影のせいだ!!」

と怒りだしました。やんちゃなのは年をとっても変わりません。

ではA氏のいうように断定はできるのでしょうか。

答えは

どちらでもない。

が正解です。そうともいえるし、そうでないともいえます(限りなく可能性は低いですが)。

とりわけがんは2人に1人がなる国民病です。

しかも低線量被ばくによるがんの発生は数日とか数ヶ月レベルではなく数年から数十年単位にもなることから、これを幼い頃のレントゲン撮影に原因があるというのはかなり難があります。

なぜならがんは規則正しい生活を送っているにも関わらず発症してしまう自然発生率に加え、喫煙やアルコールなど生活習慣によっても発生の確率は大きく変わってきますからね。

このA氏がこれまでの人生で無茶苦茶な生活をしていれば、がんの影響はどれに原因があるかわからなくなります。

放射線治療などの大線量被ばくの場合と異なり、少量の被ばくの場合は他の原因に紛れてしまうため証明ができませんね。これが上図の点線の意味です。

まとめ

難しいですよね。

グレイとかシーベルトとかベクレルとか単位もさることながら専門用語ばっかりだと理解する気も萎えてしまいます。

でも今回は、放射線が人体に与える影響は2つしか無い!ということはわかってもらえたのではないでしょうか。

たったふたつのパターンしかないというのを理解してもらえれば、今後放射線との付き合い方も違ってくると思います。

検診のレントゲン撮影で100%がんになる

と騒がなくても良くなります。

ただし妊婦さんはまた話が違ってきますから、各種放射線の検査を受ける際には妊娠している旨を先生や技師に伝えてくださいね。

 

日本人は放射線アレルギーが強すぎると思いますね、どうしても。(その結果、ゴジラという私の大好きな怪獣が産まれた訳ですから一概に否定はできませんが。)

観念的すぎると思います。放射線より自動車の方が人を殺してるはずなのに反モータリゼーション運動なんか聞いたことはありませんね。

 

今日はこの辺りで終わります。

読んでいただきありがとうございました。