屈折する星屑エセー

世はさだめなきこそ いみじけれ

『イエスタデイ』は『JOKER』で病んだ人、もしくは大切な人と一緒に観に行ってほしい。

昨夜のこと、友人達からイエスタデイ を見てきたと感想が送られてきた。

 

『イエスタデイ』 

あらすじ

舞台はイギリスの小さな海辺の町サフォーク。シンガーソングライターのジャックは、幼なじみで親友のエリーの献身的なサポートも虚しくまったく売れず、音楽で有名になりたいという夢は萎んでいた。そんな時、世界規模で原因不明の大停電が起こり、彼は交通事故に遭う。昏睡状態から目を覚ますと、史上最も有名なバンド、ビートルズが存在していないことに気づく─。

(中略)
自分がコレクションしていたはずのビートルズのレコードも消え去っている摩訶不思議な状況の中、唯一、彼らの楽曲を知っているジャックは記憶を頼りに楽曲を披露するようになる。物語はジャックの驚きや興奮、戸惑いや葛藤、そして喜びがビートルズの珠玉の名曲とともに語られていく。何気なく友人たちの前で歌った“イエスタデイ”がジャックの人生や世界までも大きく変えていくが、夢、信念、友情、愛情…ビートルズの楽曲が人生のすべてのシーンを豊かに彩る。

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 公式サイトより引用

映画『イエスタデイ』公式サイト

運命を感じた

鑑賞後の友人らが言うには

とにかくサイコーにサイコー!

UKロックファンが昇天しそうな小ネタがそこかしこに

ダニーボイルやってくれたな

泣いちまったやないか

と絶賛の嵐。

 

これを聞いた私は、しかしあらすじだけで展開が既に読めますし報告を受けた時間も夜9時くらいだったので正直観に行くか迷いました。

が、そのとき自分の服を見て驚きました。

A DAY IN THE LIFE のUTコラボシャツを着ていたのです。

これはジョンとジョージからの啓示であると(ポールリンゴはまだ生きております)。

俺らの物語を観に来いよ、と言われた気がしましてね。

しかし上映時間はもう迫っているのです。近くにも映画館はあるのですが、せっかくなので音響がいいスクリーンで観たい。距離はありますが、車をぶっ飛ばしました。

 

映画館の座席に着くと開始から15分は経過しておりましたが、ストーリーは大体わかるので平気です。そして物語にグイグイ引き込まれてあっという間の2時間でした。

前置きが長くなりましたがここから感想です。

 

感想(ネタバレ無し)

レビュー

タイトルにもしましたね、率直に言うなら

 

恋人と行ってくれ!

 

これに尽きます。

付き合っている彼女と観に行けば最高に幸せな気持ちで映画館を出られるでしょう。この映画を観終わった後の二人には向かう所敵なしです。

交際前でもデートで鑑賞すればなお良し。君の恋はきっとうまく行く。星の屑こと私が保証する。

それは奥さんと行っても然りです。家族みんなで観ても幸福感に包まれると思います。

 

『500日のサマー』を彷彿とさせる水々しいラブストーリー

珠玉のキラーチューン、ビートルズナンバーに君の思いを乗せて

 

というコピーは今作ってみましたがこんな感じです。

でもね、もうビートルズ関係ないんじゃないかな。

ビートルズの曲を聴いたことの無い人がもしかしたらいるかもしれない。

でもそれは関係ないね。映画の設定がビートルズの存在しない世界だから。

むしろビートルズを通ってない人にこそ、この映画とのシンクロニシティを肌でビシビシ感じてほしい。

 

『イエスタデイ』はラブストーリーですがコメディでもあって随所に時代的なネタや(いわゆるポリコレ)、ロックネタが散りばめられています。

知っていたら思わず笑いが出ますね。劇場内でもみんなウケてました。

今では行き過ぎたポリコレが世界中で文化を刈り取っていますが、これに対する茶化しの演出もあって、さすがイギリス映画だなと思いました。

しかし前述の通り、何も知らなくても大丈夫。素直に楽しめます。

 

最近では『JOKER』を観て心を痛めた人が大量に発生していると聞きます。(私はまだ観てません)

ちょうど沈んだ気持ちをこの『イエスタデイ』は引き上げてくれる。むしろプラスにさせるくらいのパワーを持っています。

それは主役のふたりが観客の気持ちと乖離していないことが大きい。どうしてもジャックとエリーを応援してしまいます。オチは想像できるのにね。これも脚本の素晴らしさですな。

ビートルズとは

でも何よりビートルズ。全てにおいて核になっています。彼らのナンバーがやっぱり世界遺産レベルで人の心に響くものを持っているからでしょうね。

約50年も前のバンドがまだ世界で愛され続けているし、新作のコンテンツとしても使われるというのは驚異的ですね。The Beatlesは人類の文化的進化の頂点にいたのかもしれないなと思います。それ以後のカルチャーで半世紀も残る作品を量産できるアーティストは思い浮かびませんからね。ビートルズは人類の文化的財産でしょう。

何世代もまたいで人類がこれからも聴いていくのだろうなと感じます。既にビートルズはクラシックと同じ領域になっているのかもしれませんね。

 

映画館を出た私はipodを車に繋げ「Back in the U.S.S.R.」を爆音で流しながら帰ったことは言うまでもありません。

 

感想その2

え、ちょっと待って。ダニーボイルさん、なんか違いませんか?

ダニーボイルに物申す

ダニーボイルについて全てを観たわけではありませんが、

『トレインスポッティング』ではユアンマクレガーをこの世のものではないおぞましい便器に頭からダイブさせ、『スラムドッグミリオネア』ではインドの少年を肥溜めにまたダイブさせ、『28日後』ではゾンビにダッシュをさせ人を襲い、とにかくダニーボイル作品はテンポが良く疾走感があり、とにかくスタイリッシュ。

トレインスポッティング(字幕版)

今作ではセックスドラッグバイオレンスが無い。

ついでにタバコも存在しない世界だからドラッグもない。

『イエスタデイ 』ではこれらの“カッコいい汚さ”といったものが皆無でした。というのも脚本が『ノッティングヒルの恋人』のリチャードカーティスだったからでしょう。

ありそうな展開として、劇中で出てきた潜水艦のおもちゃが突然デスクの上に置かれていて(俺たちはお前がパクっているのを知っているぞ)という暗喩があったり、はたまたビートルズを知っている年配二人から受ける不安要素を広げるシナリオなど全くありませんでしたね。

 

ファンタジーかホラーか

このことから私は『イエスタデイ 』はビートルズのMVとして、もしくはファンタジーモノだと思って観ていました。

例えばインド系が主役というのも、またその彼が幼馴染のイングランド美人を恋人するという設定も、加えてブリティッシュドリームを掴むストーリーなどなどファンタジーだと思えてしまいます。

確かに鑑賞後は胸をかきむしりたくなるほどのラブストーリーでした。それはもう死にたくなりましたね。ビルの駐車場からダイブしたくなりました。

何だろう、そういう意味では私にとってはラブコメではなく静かなるバイオレンス映画だったのかもしれません。

 

巨匠ダニーボイルが殺しにきていると強く感じましたね。

 

なるほどハートフルコメディでメッタ刺しにしてくるとは、さすが巨匠ですな。

さしずめ

『All You Need Is “KILL”』

ですか。疑ってすみません。

そう、むしろ逆に『JOKER』を観たくなりました。突き落としてほしいくらいです。

実は帰宅してすぐに『13日の金曜日』を観ていました。なんか心を鎮めてほしかった。

 

終わりに

私自身ブログ記事タイトルをひっくり返している順序の鑑賞で申し訳ないですけども、『JOKER』⇨『イエスタデイ』のはしごがメンタルをマイナスからちょっとプラスにしてくれるからオススメのようですね。

 

それにしてもジャックは異世界で暮らしていく様子。ビートルズがいた元の世界には戻る気がさらさら無い。何とかして戻ろうとする描写が無いのが他の世界系とは違いますね。

エリーとくっついて幸せだからそれでいいのか!

もう一度本物のビートルズを聴きたくないのか!!

ありがたいことにウチの棚からはレコードが消えておりませんでしたので今週はずっとビートルズを聴きこうと思います。

長文読んでくれてありがとう。HEY,相棒!